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課税所得と適用税率

法人税の課税所得は、対象法人が「国内法人」「居住外国法人」「非居住外国法人」であるかによって異なります。

フィリピン国内法人は、すべての課税所得(総所得から許容される控除を差し引く)に対して最高30%の税率で課税されます。フィリピン国内で事業に従事する支店などの居住外国法人は、フィリピン源泉の課税所得に対してのみ、国内法人と同じ税率で課税されます。フィリピン国内で事業に従事しない非居住外国法人は、フィリピン源泉の総所得(控除の特典なし)に対して最高30%の最終源泉税が課せられます。

課税年度末時点で総所得(売上から原価等を控除)の2%の最低法人所得税Minimum Corporate Income Tax(MCIT)が課せられます。MCITの適用を受けるのは、当該法人が事業の4年度目以降にあり、MCITが課税所得の30%(通常所得税、NT)の金額よりも大きい場合です。なお、2007年第3四半期以降、MCITの申告は四半期ごととなりました。

 

20年ぶりの税制改革に乗り出す

世界銀行によると、2018年のフィリピンにおける1人当たりGNI(国民総所得)は3,830ドルであり、高中所得国(3,935ドル超)入りは遠くありません。

フィリピン政府は、2040年までに高所得国(1人当たりGNIは1万2,235ドル超)に加わることを目指しており、安定的な経済成長を持続させるため、税制の近代化と合理化を目的とし、20年ぶりの税制改革に乗り出しています。包括的税制改革プログラムと呼ばれる税制改革は4つのパッケージに分かれており、第1弾(個人所得税や物品税、付加価値税、相続・贈与税などに関わる改革)は2018年1月に施行されたました。

続く第2弾(法人所得税と税制優遇措置に関わる改革)はASEAN諸国の中で最も高い30%という現在の法人税率を毎年1%ずつ段階的に20%まで引き下げる案となっています。一方で、日系企業が900社以上登録されているフィリピン経済特区庁(PEZA)を中心とした、経済特区に適用される税優遇措置の縮小や撤廃が盛り込まれており、日系企業に懸念が広がっています。同法案は2018年国会で法案が提出されたものの、輸出産業を圧迫して雇用喪失を招くとの懸念から審議が停滞し、時間切れで廃案となり、2019年国会で改めて法案が提出されて審議に入りました。日系進出製造企業の多くがこの法案の影響を受けると見られており注視されています。

このほか、第3弾(固定資産税に関する改革)、第4弾(金融関連税に関わる改革)が控えています。

 

税制改革第2弾関連法案「CITIRA法案」

2019年9月13日に下院で承認された税制改革第2弾関連法案「CITIRA(法人所得税及びインセンティブ合理化法)」は、当初2020年1月施行を想定していました。フィリピンでは長年にわたり、PEZAやBOI(投資委員会)など14の投資誘致機関がそれぞれ独自の支援メニューで投資を誘致してきましたが、この改定によって優遇税制措置は一本化される見込みです。

CITIRA法案の概要

参考:フィリピン貿易産業省が想定する新たな優遇税制措置の主な適用対象業種経済指標

 

また、新たな優遇税制措置は、「SIPP(戦略的投資優先計画)」に含まれる業種が適用対象となります。貿易産業省が想定する適用範囲は、電気・電子、自動車をはじめ、に挙げた業種を含んでおり、非常に広い範囲となります。適用に当たっては、各投資誘致機関が事業案件の適格性を審査しますが、最終的な承認権限は、財務省が委員長を務めるFIRB(Fiscal Incentives Review Board)に属します。

優遇税制措置の主な適用対象業種

 

「CITIRA法案」がもたらす進出企業への影響

この下院案が実現した場合、次のような影響が想定されます。

①輸出企業の税負担増加が懸念されます。法人所得税自体は段階的に削減していきますが、例えば、IBPAP(ITを活用したアウトソーシングビジネスの業界団体)は、この制度改正で税負担が現行より170%増加すると指摘しています。

②次に、輸出企業の税務が煩雑化が予想されます。例えば、現在、PEZAの輸出企業はワンストップサービスを提供するPEZAを通じて税金を一括納付していますが、制度改定後は、国、州、市町へ直接、納税するため、各税務当局の担当官との調整に要する時間とコストが増えます。これまで免除されていた関税も、5年の免税期間を過ぎると、税関との調整が新たに発生します。

③また、既進出企業の優遇措置を打ち切る移行期間も2〜5年と短い点が挙げられます。関税や付加価値税の減免についても、現在に比べて適用範囲が限定されるため、企業の資金繰りに与える影響や国際競争力の低下が懸念されています。

 

「CITIRA法案」から「CREATE法案」へ

フィリピン財務省(DOF)は5月26日、税制改革第2弾法案「CITIRA法案」を修正した「CREATE法案」を国会に提出したと発表しました。

CITIRA法案では、30%という現行の法人税率を毎年1%ずつ引き下げ、2029年に20%にするとしていましたが、修正後のCREATE法案では新型コロナウイルスの感染拡大の影響で落ち込む国内経済を刺激するための案が盛り込まれています。まず、30%の現行の法人税率を即時25%に引き下げ、2023年から2027年までの5年間で法人税率を1年ごとに1%ずつ引き下げ、2027年には20%にすると規定しました。法人税率20%にまで減少していくことは当然対象企業にとって魅力となります。ASEANにおいてもシンガポールに次いで2番目に法人税が低い国となり、進出企業にとっても大変魅力となることは間違いありません。

経済特区の現行の税制優遇制度の抜本的見直しについては、CITIRA法案で2〜7年としていた法人所得税免除後に適用する特別税率の適用期間について、CREATE法案は4〜9年に延長すると規定しています。

CREATE法案はさらに、2020年の中小企業の繰越欠損金(NOLCO)について、損失を繰り越しできる期間を2年間延長し、現行の3年間から5年間にすることを規定。DOFは、これによって新型コロナウイルスの感染拡大により経営難に陥る中小企業の税負担軽減につながるとしました。

DOFのカルロス・ドミンゲス長官は、新型コロナウイルスの感染拡大という困難な時期にある国内経済を回復するためにも、CREATE法案を早急に可決させる必要があるとしました。

CREATE法案の概要

参考: JETROビジネス短信2019年10月2日「正念場を迎える税制改革 第2弾の国会審議(フィリピン)」

参考: JETROビジネス短信2019年12月16日「税制改革法第2弾(CITIRA)の成立は2020年に持ち越しか」

参考: JETROビジネス短信2020年06月01日「法人税即時減税の税制改革修正法案を提出、経済特区優遇制度も一部修正」

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