ジェトロによる「進出日系企業実態調査」の結果 ―アジア・オセアニア編―
製造マーケットの現状
新型コロナで景況感悪化、通商環境の変化による影響が広範囲に
本調査結果の主要ポイント
- 1.新型コロナで景況感は過去最低も、中国の悪化度合いは緩やか:
-
- アジア・オセアニアのすべての国・地域の景況感がマイナスとなったのは、調査開始以来はじめて。景況感を表すDI値(注)は全体でマイナス40.7ポイントと、過去最低水準を更新。米中対立など通商環境の変化によるマイナスの影響に、新型コロナによる国内外での市場喪失の影響が追い打ちをかけた。
- 中国の日系企業の景況感はマイナス23.4ポイント。悪化はしたものの、前年からの落ち込みは19.6ポイントと、悪化度合いは他国・地域と比べ緩やか。また、黒字企業の割合もすべての国・地域で落ち込んだものの、中国は最も減少幅が少なく、6割強が黒字を維持。
(注)Diffusion Indexの略で、営業利益が「改善」する企業の割合(%)から「悪化」する割合を差し引いた数値。
- 2.新型コロナからの正常化でも中国が先行:
-
新型コロナから正常化する時期を2021年中と見込む企業が8割に上るなか、中国では4割強の企業が「年内」に、7割が「2021年前半」までに正常化を見込む。
- 3.通商環境の変化:香港でマイナスの影響顕著、ベトナム、インド、バングラデシュはプラスも:
-
- 通商環境の変化による業績へのマイナスの影響は、北東アジアを中心にやや悪化しつつ継続。とりわけ、香港は米中対立などの影響を受けた悪化が目立ち、46.3%の企業が「マイナスの影響」を受けている。加えて、豪州でもマイナスの影響が3割強と、前年比倍近く増加。中国・豪州間の通商関係の悪化が背景にあるとみられる。
- 一方、ベトナム、インド、バングラデシュなどでは通商環境の変化がプラスに作用も。ベトナム、バングラデシュでは、米中貿易摩擦を受けた両国への生産シフトがプラスに働くとする回答が多い。インドでは、そうした生産シフトに加え、中印関係悪化を背景に、中国製品のインドへの流入が減少することによる日本製品購入増などのプラスの影響があるとする回答が目立つ。
- (本編資料)
「2020年度 海外進出日系企業実態調査(アジア・オセアニア編)」https://www.jetro.go.jp/ext_images/_News/releases/2020/f2a455aa82cb1403/2020ao-ou.pdf